
本コラムでは、「生前贈与」と「相続」の違いについて、それぞれの仕組みや税制上の扱い、メリット・デメリットを比較しながら解説します。
大切な財産をどのように次世代へ引き継ぐかは、家族にとって重要なテーマです。特に贈与と相続では、手続きの時期や税金の負担に大きな差が出ることもあるため、正しい知識をもとに検討することが欠かせません。
◼︎生前贈与とは?
生前贈与とは、本人が生きているうちに財産を他人に無償で譲ることをいいます。たとえば、親が子どもに現金や不動産を渡す場合などがこれにあたります。
メリット
・相続発生前に財産を計画的に移転できる
・相続税対策として有効(毎年110万円の非課税枠あり)
・家族に財産の分配を事前に相談・調整しやすい
デメリット
・贈与税の対象となり、相続税より税率が高い場合もある
・「3年以内の贈与」は相続財産に加算される(※一部例外あり)
・登記や手続きに費用と手間がかかる
◼︎相続とは?
相続とは、被相続人(亡くなった人)の財産を、法定相続人が受け継ぐことです。遺言書があればその内容に従い、ない場合は法律に基づいて分割されます。
メリット
・一括して相続財産を評価・分配できる
・「小規模宅地等の特例」や「配偶者の税額軽減」など、節税制度が多く使える
・相続開始前の対策次第で税負担を大幅に軽減できる
デメリット
・相続開始後、10か月以内に申告・納税が必要
・相続人間でトラブルが起きやすい(遺産分割協議)
・不動産など共有名義になると運用・処分が難しくなる
◼︎どちらを選ぶべきか?

結論から言えば、「どちらが良いか」はケースバイケースです。
●相続財産が多く、節税対策を重視する場合は早めの生前贈与を計画的に活用するのが効果的です。
●一方で、贈与税の課税リスクを避けたい場合や、特例を活用したい場合は相続を優先する方が有利になることもあります。
近年は、相続税の課税対象者が増加傾向にあり、生前からの準備の重要性が高まっています。
◼︎まとめ
生前贈与と相続にはそれぞれに利点と注意点があり、どちらを選ぶかによって税負担や家族関係にも影響が出ます。大切なのは、「税制を理解したうえで、自分の家族にとって最善の方法を選ぶこと」です。
迷ったときは、税理士や司法書士といった相続の専門家に相談し、将来のトラブルを防ぐための対策を立てましょう。早めの行動が、円満な資産承継への第一歩になります。
※本記事は一般的な情報に基づいて作成しています。具体的なご事情によって必要な手続きや税額は異なりますので、詳細については専門家にご相談ください。
相続は一生に何度も経験するものではありません。不動産の名義変更や税務対応を放置すると、後々の手間やトラブルにつながる可能性もあります。
不安を解消し、安心して手続きを進めたい方は、ぜひ大阪相続相談センターまでお気軽にお問い合わせください。