
相続した実家、売るのは寂しいけど空き家にしておくのも不安…

賃貸に出して家賃収入を得られたらいいけど、何から始めればいいの?
相続した不動産を賃貸活用したいと考えている方は、大阪でも年々増えています。売却とは異なり、不動産を手放さずに収益を得られる点が賃貸活用の大きなメリットです。
ただし、賃貸に出すにはいくつかの手続きと初期費用が必要で、収益化までの準備をしっかり行うことが大切です。
本コラムでは、相続した不動産を賃貸に出す場合の手続きの流れと、収益化のポイントをわかりやすく解説します。


① 相続した不動産を賃貸に出すメリット・デメリット
まず、賃貸活用を選択した場合のメリットとデメリットを整理します。
メリット
・毎月安定した家賃収入が得られる
・不動産を手放さずに資産として保有し続けられる
・将来的に売却・自己使用への切り替えが可能
・空き家放置によるリスク(劣化・税負担増・特定空家指定)を回避できる
・固定資産税などの維持費を家賃収入で賄える
デメリット
・リフォームや設備更新などの初期費用がかかる場合がある
・入居者が決まらない空室期間は収入がゼロになる
・入居者とのトラブルや修繕対応などの管理業務が発生する
・賃貸収入は所得税・住民税の課税対象になる
・入居者が決まると、すぐには売却や自己使用に切り替えにくくなる
賃貸活用は「長期的に資産を活かしたい」という方に向いている選択肢です。一方で、短期間での現金化を優先したい場合は売却の方が適しています。
② 賃貸に出す前に必要な手続き
相続した不動産を賃貸に出すには、まず次の手続きを済ませておく必要があります。
・相続登記(名義変更)
賃貸契約を結ぶ貸主は、不動産の名義人でなければなりません。被相続人名義のままでは賃貸借契約が締結できないため、まず相続登記を完了させることが必須です。
2024年4月から相続登記が義務化されており、相続を知った日から3年以内に手続きを行わなければペナルティが発生します。賃貸活用を考えているなら、早めに名義変更を進めましょう。
・遺産分割協議の完了
複数の相続人がいる場合、不動産の賃貸活用についても相続人全員の合意が必要です。「誰が貸主になるか」「家賃収入をどう分配するか」といった点を遺産分割協議でしっかり決めておきましょう。
・ローン残債の確認
相続した不動産に住宅ローンが残っている場合、金融機関によっては賃貸活用に制限がかかることがあります。事前に金融機関へ確認・相談しておくことをおすすめします。
③ 賃貸活用までの流れ
相続登記が完了したら、次のステップで賃貸活用を進めます。
STEP1:不動産の現状確認
建物の状態・設備の動作確認・リフォームの必要性などを確認します。長期間空き家だった場合は特に、給排水・電気・ガスの点検が必要です。
STEP2:賃貸需要・相場の調査
不動産会社に相談して、周辺エリアの賃貸需要と家賃相場を把握します。大阪市内でも、エリアによって単身者向け・ファミリー向けなど需要層が異なります。
STEP3:リフォーム・クリーニングの実施
入居者が決まりやすい状態に整えます。費用対効果を考慮しながら、必要最低限のリフォームに絞ることがポイントです。
STEP4:管理方法の決定
賃貸管理には「自主管理」と「管理会社への委託」の2つの方法があります。
| 管理方法 | 特徴 |
|---|---|
| 自主管理 | 管理費用が不要だが、入居者対応・修繕手配などを自分で行う必要がある |
| 管理会社委託 | 家賃収入の5〜10%程度の管理費がかかるが、日常的な管理業務を代行してもらえる |
遠方に住んでいる方や、本業が忙しい方は管理会社への委託が安心です。
STEP5:入居者の募集・賃貸借契約の締結
不動産会社を通じて入居者を募集し、審査・契約へと進みます。契約書の内容(家賃・敷金・礼金・解約条件など)はしっかり確認しましょう。
STEP6:入居・管理開始
入居後は、家賃の回収・設備の修繕対応・更新手続きなどを継続的に行います。
④ リフォーム・原状回復の考え方

賃貸活用を始めるにあたって、リフォームに費用をかけすぎてしまうのはよくあるミスです。
■リフォームの基本的な考え方
・まずクリーニングと最低限の修繕を優先する:壁紙の張り替え・フローリングの補修・水回りの清掃など、清潔感を出すことが最優先です。
・家賃相場と回収期間を計算してから決める:たとえば月額家賃6万円の物件に100万円のリフォームをすると、回収に約14ヶ月かかります。費用対効果を必ず試算しましょう。
・築年数や構造に合わせた判断をする:築古物件に高額リフォームをしても、家賃への反映に限界があります。
■原状回復について
入居者が退去する際の原状回復(借主の故意・過失による損傷の修繕)については、賃貸借契約書に明確に記載しておくことがトラブル防止につながります。国土交通省のガイドラインに沿った内容で契約書を作成しておくと安心です。
⑤ 収益化のポイントと収支シミュレーション
賃貸活用を成功させるためには、事前に収支をしっかり試算しておくことが重要です。
◼︎収支の計算式
年間収支 = 年間家賃収入 −(管理費・修繕費・固定資産税・保険料・ローン返済など)
◼︎簡単なシミュレーション例
| 項目 | 金額(年間) |
|---|---|
| 家賃収入 | 96万円 |
| 管理委託費(8%) | △7.7万円 |
| 固定資産税 | △10万円(目安) |
| 修繕積立・修繕費 | △10万円(目安) |
| 火災保険料 | △2万円(目安) |
| 年間収支 | 約66万円 |
※あくまで目安です。実際の収支は物件・エリア・管理方法によって異なります。
空室期間(入居者がいない期間)が発生すると収入がゼロになるため、空室リスクを見込んだ上で収支計画を立てることが大切です。一般的に入居率80〜90%を目安にシミュレーションすると現実的な数字になります。
賃貸収入にかかる税金と確定申告

賃貸収入は「不動産所得」として所得税・住民税の課税対象になります。年間の家賃収入が発生した場合は、翌年2〜3月に確定申告が必要です。
不動産所得の計算式は以下のとおりです。
不動産所得 = 賃貸収入 − 必要経費
必要経費として認められる主な項目は以下のとおりです。
・管理委託費
・固定資産税・都市計画税
・火災保険料
・修繕費・リフォーム費用(一部は減価償却として複数年に分けて計上)
・減価償却費(建物の取得費を耐用年数に応じて毎年経費化)
・借入金の利子(ローンがある場合)
必要経費をきちんと計上することで課税所得を抑えられるため、収支管理をしっかり行い、領収書・請求書は保管しておきましょう。
確定申告が初めての方や、経費計上の判断が難しい方は、税理士への相談をおすすめします!
⑦ 大阪エリアで賃貸活用するときの注意点
大阪市内・周辺エリアで賃貸活用を検討する際に知っておきたいポイントをご紹介します。
・大阪は賃貸需要が全国的に高いエリア
大阪市内は単身者・ファミリー・学生・外国人など幅広い層の賃貸需要があり、全国的に見ても賃貸市場が活発なエリアです。立地条件が良ければ比較的短期間で入居者が決まるケースが多く、賃貸活用に向いたエリアといえます。
・エリアによって需要層が異なる
梅田・難波などの都心部は単身者・ビジネスパーソン向けの需要が高く、住吉区・東住吉区・平野区などの住宅街はファミリー向けの需要が安定しています。物件のタイプと需要層が合っているかを確認することが重要です。
・民泊・短期賃貸は規制に注意
大阪市内では民泊(Airbnbなど)の運営に対して規制があります。通常の賃貸とは異なる届け出・許可が必要なため、民泊活用を検討している場合は事前に行政への確認が必須です。
・築古物件は耐震性の確認を
1981年以前(旧耐震基準)の建物は、入居者の安全確保と売却時の価値維持のため、耐震診断・耐震補強を検討することをおすすめします。
まとめ:賃貸活用は「準備と収支の把握」が成功のカギです
相続した不動産を賃貸に出すことで、空き家リスクを避けながら安定した家賃収入を得ることができます。ただし、準備と収支シミュレーションをしっかり行った上で進めることが大切です。
・まず相続登記・遺産分割協議を完了させる
・賃貸需要と家賃相場を調査してから進める
・リフォームは費用対効果を計算して必要最低限に
・管理会社への委託で手間を減らすことができる
・賃貸収入は確定申告が必要・必要経費の計上で節税できる
・大阪は賃貸需要が高くエリアに合った活用がしやすい
「賃貸に出すべきか売却すべきか迷っている」「どのくらいの収益が見込めるか知りたい」という方も、まずはご相談ください。物件の状況とエリアの需要を踏まえた上で、最適な活用方法をご提案します。
大阪で相続や不動産についてお悩みの方は、大阪相続相談センターまでお気軽にどうぞ。
※本記事は一般的な内容に基づいて作成しています。具体的な事情により必要な手続きや税額は異なるため、詳細は専門家にご相談ください。
大阪で遺産分割協議書の作成や相続手続きにお悩みの方は、一般社団法人 大阪相続相談センターまでお気軽にお問い合わせください。


