
遺産分割協議書って、自分で作れるの?

誰に頼めばいいの?費用はどのくらいかかる?
相続手続きを進める中で、「遺産分割協議書」の作成が必要になる場面は多くあります。しかし、初めて相続を経験する方にとっては、何をどう書けばいいのか、誰に頼めばいいのかがわからず、手が止まってしまうケースも少なくありません。
遺産分割協議書は、内容に不備があると相続登記や預貯金の解約手続きが進められなくなるため、正確に作成することが重要です。
本コラムでは、大阪で遺産分割協議書を作成する場合の手順・費用・依頼先についてわかりやすく解説します。


① 遺産分割協議書とは?なぜ必要なの?
遺産分割協議書とは、相続人全員で話し合った遺産の分け方(遺産分割協議)の内容を文書にまとめたものです。
相続が発生すると、被相続人の財産はいったん相続人全員の共有状態になります。誰がどの財産を引き継ぐかを確定させるために遺産分割協議を行い、その合意内容を書面にしたものが遺産分割協議書です。
遺産分割協議書が必要な主な場面は以下のとおりです。
・不動産の相続登記(名義変更)を行うとき
・金融機関で預貯金の解約・払い戻しをするとき
・証券会社で株式・投資信託の名義変更をするとき
・自動車の名義変更をするとき
逆に言えば、遺産分割協議書がないと、こうした手続きが一切進められなくなります。相続発生後に早めに準備を進めることが大切です。
② 遺産分割協議書が必要なケース・不要なケース
遺産分割協議書が必要かどうかは、状況によって異なります。
必要なケース
・遺言書がない場合(最も一般的なケース)
・遺言書はあるが、遺言書に記載されていない財産がある場合
・相続人が複数いて、法定相続分と異なる分割をしたい場合
不要なケース
・遺言書があり、すべての財産の分割方法が明記されている場合
・相続人が1人だけの場合(単独相続)
ただし、「不要なケース」に当てはまる場合でも、後のトラブル防止のために協議書を作成しておくことをおすすめするケースもあります。迷った場合は専門家に相談してみましょう。
③ 遺産分割協議書の記載内容と作成手順

遺産分割協議書には、定められた書式はありませんが、必ず記載しなければならない内容があります。
必須記載事項
・被相続人の氏名・死亡日・本籍地・最後の住所
・相続人全員の氏名・住所(住民票の表記に合わせる)
・各財産の内容と、誰が引き継ぐかの明記
- 不動産:所在地・地番・家屋番号・種類・構造・面積など(登記事項証明書の表記に合わせる)
- 預貯金:金融機関名・支店名・口座種別・口座番号
- その他財産:自動車(車台番号など)・株式(銘柄・株数など)
・作成日
・相続人全員の署名・実印による押印
作成の手順
STEP1:相続財産の全体像を把握する
不動産・預貯金・株式・自動車・負債など、被相続人のすべての財産を調査してリストアップします。
STEP2:相続人全員を確定する
戸籍謄本を収集し、法定相続人が誰であるかを確認します。
STEP3:遺産分割協議を行う
相続人全員が参加して、誰がどの財産を引き継ぐかを話し合います。全員の合意が必要です。
STEP4:遺産分割協議書を作成する
合意した内容を文書にまとめます。記載内容に不備がないよう、慎重に作成しましょう。
STEP5:相続人全員が署名・押印する
相続人全員が協議書に署名し、実印で押印します。印鑑証明書も各自で取得しておく必要があります。
STEP6:各種手続きに使用する
相続登記・預貯金解約・名義変更などの手続きに、遺産分割協議書と印鑑証明書を添付して提出します。
④ 自分で作成できる?難易度の目安
遺産分割協議書は、法律上は自分で作成することが可能です。法務局のウェブサイトや書籍などにひな型が公開されており、シンプルなケースであれば自分でも対応できます。
自分で作成しやすいケース
・相続人が少なくシンプルな構成
・財産の種類・数が少ない(不動産1件・預貯金のみなど)
・相続人全員の関係が良好で合意形成がスムーズ
専門家に依頼した方がよいケース
・相続人が多い・関係が複雑(再婚・養子縁組など)
・不動産が複数ある・複数の市区町村にまたがっている
・相続人の中に認知症・未成年・行方不明の方がいる
・相続放棄をした相続人がいる
・財産の種類が多い(不動産・預貯金・株式・自動車など)
・相続人間で意見の食い違いがある
記載内容に不備があると、法務局や金融機関に書類を突き返されて作り直しになります。時間的な余裕がない場合や複雑なケースは、最初から専門家に依頼することをおすすめします。
⑤ 依頼先ごとの特徴と費用の目安
遺産分割協議書の作成を依頼できる専門家は主に3種類あります。それぞれの特徴と費用の目安をまとめます。
・司法書士
遺産分割協議書の作成と相続登記(名義変更)をまとめて依頼できるのが最大のメリットです。不動産の相続が絡む場合は、司法書士への依頼がもっともスムーズです。
費用の目安は、遺産分割協議書の作成のみで3万~5万円程度、相続登記とセットで依頼した場合は登録免許税(評価額の0.4%)+司法書士報酬(5万~15万円程度)が目安です。
・弁護士
相続人間でトラブルが起きている場合や、遺産分割の交渉が必要な場合は弁護士への依頼が適しています。協議書の作成だけでなく、法的な交渉・調停の代理も行ってもらえます。
費用の目安は、協議書作成のみで5万~10万円程度ですが、交渉・調停が絡む場合は別途費用が発生します。
・行政書士
遺産分割協議書の作成のみを比較的リーズナブルに依頼できます。ただし、相続登記(法務局への申請)は行政書士の業務範囲外のため、登記が必要な場合は司法書士との連携が必要になります。
費用の目安は、2万~5万円程度です。
依頼先を選ぶポイントは「不動産があるかどうか」です。不動産の相続が絡む場合は司法書士、トラブルがある場合は弁護士、書類作成のみでコストを抑えたい場合は行政書士が向いています。
⑥ 作成時の注意点

遺産分割協議書を作成する際に、特に気をつけたいポイントをお伝えします。
・相続人全員の参加が必須
一人でも欠けた状態で作成した協議書は無効です。相続人全員が署名・押印していることを必ず確認しましょう。
・実印と印鑑証明書がセットで必要
協議書への押印は実印でなければなりません。また、各相続人の印鑑証明書(発行から3ヶ月以内のものが求められることが多い)も添付が必要です。
・不動産の表記は登記事項証明書に合わせる
不動産の所在地・地番・家屋番号などは、登記事項証明書の記載と一字一句合致していなければなりません。「丁目」と「番地」の表記のズレなど、細かいミスが原因で書類を差し戻されるケースがあります。
・認知症の相続人がいる場合は成年後見人が必要
判断能力がない状態の相続人の署名は無効になります。認知症の相続人がいる場合は、成年後見人を選任した上で協議書への参加が必要です。
・作成後の変更は全員の合意が必要
一度作成・署名した遺産分割協議書を変更するには、相続人全員の同意が再度必要になります。内容をしっかり確認してから署名しましょう。
まとめ:遺産分割協議書は「正確さ」が何より重要です
遺産分割協議書は、相続手続きを進める上で欠かせない重要書類です。
・遺産分割協議書がないと相続登記・預貯金解約などの手続きが進められない
・相続人全員の署名・実印押印が必須
・不動産の表記は登記事項証明書と一字一句合わせる必要がある
・不動産が絡む場合は司法書士、トラブルがある場合は弁護士への依頼が安心
・記載ミスや不備は手続き全体のストップにつながるため、複雑なケースは専門家への依頼が確実
「自分のケースで何が必要かわからない」「誰に依頼すればいいか迷っている」という方も、まずはご相談ください。状況を整理した上で、最適な対応をご提案します。
大阪で相続や不動産についてお悩みの方は、大阪相続相談センターまでお気軽にどうぞ。
※本記事は一般的な内容に基づいて作成しています。具体的な事情により必要な手続きは異なるため、詳細は専門家にご相談ください。
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